『田園の詩』NO.11 「遊び心」 (1994.2.8)


 例年、早くから準備するには気分が乗らず、年末から始めて、結局、元旦に書き
終えて投函することになる年賀状で、今年は『遊煩悩林現神通』という佛教語を
上段に墨書し、下段には次のような文章を添えました。

<  賀正 1994年 元旦
 
  人間、遊び人であっては困りますが、遊び心をたくさん持つことは生活に豊か
 さと潤いを与えてくれるものだと、最近思うようになりました。年齢や仕事や立場
 などを越えて、遊び心を持った多くの方々と楽しくお付き合いさせてもらえること
 は有り難いことですし、毎年、新しくそんな人たちとの巡り会いが有ることも不思
 議なことです。
  
  私個人としては、「遊び人」と「遊び心」のきわどい境を行ったり来たりで、
 とても「この世の中で能力を発揮する」までには至っていません。

  わが女房は、割とイイ線いっていて、自然の恵みの山椒や柚子などをもらい
 回っては珍味をつくり、料理好きの本領を発揮しています。今年は、食べ物を
 離れたところでも役に立てればいいのですが・・・。

  二人の息子たち(小6、小1)といえば、受験競争の波のかからない田舎の
 学校なので、めいっぱいに「遊び人」をしています。 >


     
     最近は、上段にパソコンで写真を取り込んでいます。文章は読むのに苦労する
     くらいビッシリ書きます。  こんな長い年賀状が一枚くらいあっても・・・・・


 最近、若者流出を防ぐために、田舎の町にも遊び場が必要だといわれていますが、
かりに、賑やかな遊び場ができて若者が出入りしたとしても、それは遊ばされている
にすぎないと、私には思われます。

 実際には、田舎には遊技場はありません。しかし、自然という素晴らしい遊び場が
あります。そこで一年中キノコを採って楽しんでいるグループがあります。昆虫採集
で貴重なトンボを発見した人もいます。

 私も、休日には同級生と連れ立って山芋掘りに何度も出掛けます。他愛ないこと
でしょうが、本人たちにはこの上なく楽しい遊びなのです。

 よくいわれる地域活性化も、そこに住む一人ひとりが、いかに遊び心を発揮し
ながら楽しんで暮らしているかが、核になると思うのです。   (住職・筆工)

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